【あ】
■【愛敬の祈り】
神前に向かってカシコミながらも着物の裾をめくって、陰部をちらつかせる祈り。神様もすこぶるゴマン悦。「じゃ、願いを叶えてあげよう」ということになる。ナマの性器も性神になりうるというケース。アメノウズメのストリップしかり。
□【……余聞】-1
藤原保昌との破局を迎えた和泉式部が、ラブをとリ戻そうってんで、京都は貴船神社の巫女に「敬愛の祈り」をお願いする。巫女は神前に向かって3度、陰部をパッパッパッ。和泉式部にも同じようにするよう勧めたが…。
□【……余聞】-2
――ちはやふる神の見るめもはずかしや 身を思ふとて身をやすつべき
フツ~は、こんなことできませんよね。和泉式部も、とかなんとか歌でごまかして、「愛敬の祈り」をエスケープ。
●【愛知県】
⇒陰陽物
蔵屋敷若宮社の大銀杏、瀬戸田の磯神さま(豊橋市)、大縣神社の女陰形石(犬山市)、田縣神社の男根形石(小牧市)、桃巌寺のねむり弁天(名古屋市)、万松寺(岡崎市)、妙安寺(名古屋市)…。
★【愛知県】
⇒祭り
於祖々祭り(犬山市)、てんてこ祭(西尾市)、扁乃古祭り(小牧市)…。
▼【会津民俗館の男根形など】
⇒福島・耶麻郡猪苗代町大字三ッ和字前田33-1
猪苗代湖畔にある茅葺の建物群。名主の住まいを移築したもので、生活文化財6000点が展示されている。陳列品の中に長さ2mもある木製の男根もござる。会津地方の人々が性信仰と深く結びついていたことを物語っているようだ。
▽【……余聞】
木製の男根形のひとつは、この地方で家を新築するとき、邪気払いとして棟木(ムナギ)にとりつけたんだとさ。
●【青森県】
⇒陰陽物
石ヶ戸の女陰窟(十和田市)、上田屋の金勢天魔神(東通村)、三戸の根清大神(三戸町)、菩提寺地蔵堂(むつ市)…。
▼【青山の道祖神碑】
⇒神奈川・相模原市津久井町
道祖神の「祖」の傍(ツクリ)の「且」の字が、ポコチン形に刻まれている。なぜかというと、もともと「祖」のツクリの「且」には、ポコチンの意味があるのだ。最近は文字に朱を塗っているがいかがなものか?⇒
◎【赤城山麓の性神風土記】
⇒小板橋靖正、あさを社(1985)
■【縣神社】
▼【赤塚・諏訪神社】
⇒東京都板橋区下赤塚町2606
高さ37cmの木彫りの雌猿坐像があり、女陰をむきだしにしている(未確認)。また、2月13日には「田遊び」と呼ばれるエッチ神事がある。⇒赤塚の田遊び
★【赤塚の田遊び】
⇒2月13日、赤塚諏訪神社(東京)
翁面の「太郎次」と、媼面(オウナメン)の「やすめ」が笛の音に合わせて、抱き合って腰を前後に振ったりする。つまり、田の神を刺激して、豊作を祈願しようってわけ。氏子たちの奉仕による東京都の無形文化財。⇒東京・板橋区下赤塚町2606
▽【……余聞】
このほかにも、竹で編んだ花籠(女性器の象徴)を「イヨーイヨー」の掛け声で振り回し、そこへと大稲本(司会者)が弓(男根の象徴)を持って近づき、「ヤアーエオヨオーエヨオー」とばかりにこの弓を花籠へと突っ込ませたり。
●【秋田県】
⇒陰陽物
大畑台遺跡(男鹿市)、大湯遺跡(鹿角市)、鹿島さま(湯沢市など)、桃洞の滝(北秋田市)、蒸の湯の金勢明神(鹿角市)、湯出野遺跡(東由利町)…。
○【……の触書】
各区村々ニ於テ木或ハ石ヲ以テ大陰茎ノ形ヲ模刻シ路傍ニ建立金勢明神ナト、称シ有之場所不少ノ外ノ事ニ候条早々ニ取毀可申、万一等閑ニ致候ニ於テハ見聞次第急度御沙汰ニ及ヘク候条、心得違無之様可致者也。但商戸ニ於テ神棚ニ載置候族モ有之由事謂事ニ付前文同断取除可申事→1872(明治5)年、秋田県社事課
★【秋田県】
⇒祭り
かまくら(横手市)、ぼんでん祭り(横手市)…。
▼【安喰・大鷲神社の魂生大明神】
⇒千葉県印旛郡栄町安喰字谷前3620-1
高さ2.4mのほれぼれするような石製男根が祀られている。サイズは石製なら日本一なんだって。黒光りしているのは、ハハ~ン、相当に使い込んだための淫水焼け? な~んちゃって。
▽【……余聞】
かつて、宿場町のご当地には遊女屋もあり、遊女たちから「性病よけ」の信仰を一心にあつめていた。「魂生」は「金精」からの転訛。
■【握手像】
⇒双体道祖神
男女2神が手を握り合っている像。
▼【悪霊】
悪しき精霊、死霊、生霊(怨念や嫉妬)、占星術でいう惑星や星宿の悪影響などを総称して言う。
▼【阿佐ヶ谷神明神社】
⇒東京・杉並区阿佐ヶ谷北1-25-5
ご神体は石棒だとされている。『江戸名所図会』にも「神体は一顆の霊石なり」となっている。地元でも直接的に「麻羅明神」と呼んで信仰していたこともあったそうだ。つい最近まで「天祖神社」と呼ばれていた。
□【浅間神社】
⇒センゲンジンジャ(浅間神社)
◎【アジアの性】
⇒諏訪春雄編・勉誠出版(1999)
◆【芦田英一】
▼【飛鳥坐神社の陰陽石】(アスカニイマス……)
⇒奈良県明日香村飛鳥707-1
「延喜式」にもある古~い神社。天狗とおかめの濡れ場を見せる「おんだ祭り」で知られているが、境内には無数の陰陽石がすえられている。
★【飛鳥坐神社のおんだ祭り】
⇒2月第1日曜日、飛鳥坐神社(奈良)
正しくは御田植神事。天狗とお多福が登場して、水田耕作のしぐさをおりまぜながら、「種つけ」といって、腰をヘコヘコ動かして夫婦和合を演じる。いうまでもないが、天狗の鼻は男根、お多福の顔は女陰を表している。→奈良・県明日香村
☆【……余聞】
模倣呪術といって、神前で性の接触をやってみせることで、神がこの行為を見習って、同じように繁栄、繁殖させてくれるという信仰。
☆【……余聞】
一戦終わった天狗とお多福は、懐から紙をとりだして股間を拭き、その紙を見物人へと投げる。見物人こぞってこれを奪い合う。なぜなら、この紙は福(拭く)の紙だってさ。
▼【熱海秘法館】
⇒静岡県熱海市
■【穴観音】
性神の呼称のひとつ。女陰系。←性神の呼称
■【穴波神】
性神の呼称のひとつ。「阿奈波」とも。女陰系。←性神の呼称
□【……あちこち】
阿奈波神社(愛媛)…。
▼【阿奈波神社】
⇒愛媛県大三島町
こちらの祭神はイワナガ姫。そうです、コノハナサクヤ姫の姉さんで、かなりのブスとされている。ニニギ命にも相手にされず処女のまま逝ってしまったんでしょうナ。そのことを慰めようってわけなのか、かなりの数の男根が奉納されている。
▼【我孫子の諏訪神社】
⇒我孫子市中里
尻をあげて交尾の姿勢をとっている狛犬が面白いんです。また、ご神木の「椎」(スダジイ)には、「子授り」のご利益があるそうだ。
★【アピス】
エジプト神話で生殖力の象徴であるオリシス神の化身。雄牛の姿をしており、角の間に太陽をカタどった円盤をはさんでいる。牛のイチモツは、馬なんかよりも太くて長~いのだ。←オリシス
☆【……余聞】
日本ならさしずめ馬だけど…。ところが、馬は意外に短くて50cmほどしかない。これに対して牛は1m近くある。
◆【阿部通良】
性神研究家。
■【あま犬】
神社の拝殿の両側にある、いわゆる狛犬のこと。「あま」と「こま」がイコールなら、「あま」を冠する神々、例えばアマテラス、アメノウズメは、高句麗系とみることもできるのだが…。
■【雨ごい】 日照りつづきのとき、雨がふるよう神仏にいのろこと。ネパールなどでは、この雨ごいで女陰をさらすことがある。「雨」は「精液」とみるからだ。
▼【尼塚】
⇒徳島県鳴門市
清少納言の墓所とされている。伝説によると、清少納言はご当地(里浦の浜)で、漁師に辱められ、自ら陰部をえぐりとって、海に捨てて死んだんだそうな。その陰部が「似たり貝」(貽貝)になったとか。
◆【アマツマラ】(天津麻羅)
アマテラスを岩戸から引き出すために鏡をこしらえた鍛冶の神さま。「麻羅」というぐらいで、男根の神ではないかと見られている。
◇【……余聞】
『古語拾遺』ではこの神の名前がアメノマヒトツノミコト(天目一箇命)となり、『日本書紀』には「天目一箇神を作金者とし…」とある。目が一つとは、男根の尿道口をさすのだろう。「頭つんつるてんで目は一つ」という猥歌もあるでよ。
▼【天岩戸神社】
⇒宮城県高千穂町
天岩戸神社の舞台になったとされる洞窟がある。もっともそこへは渡れないんだけども。もし、女性器を象徴する洞窟なら、人に見せちゃいけませんや。
■【雨】
女陰である大地にふりそそぐ「雨」は精液とみなされ、あらゆる生物がはぐくまれるわけだ。いまでも、ネパールの一部では、村の全女性がスッポンポンになって雨ごいをする風習がある。精子(雨)を向かえいれようということか。
◆【アメノウズメ】
元祖・ストリッパー。天岩戸の前で裸踊りをやらかし、同じことをサルタヒコの前でもやって悩殺。サルタヒコを味方につけ、高千穂への道案内をさせ、後にサルタヒコと結婚している。ウズメは猛女って意味の古語「オズメ」から転じた。性神のひと柱でもある。
◇【……疑問】
ストリップのさい、「胸の乳の 露れ出づるも知らなく 裳紐を陰(ホト)のあたりまで押し垂れ…」たそうだが、コレってどういうシチュエーションが理解できますか? オラ、いくら考えても分からねェ。
◇【……余聞】
サルタヒコの嫁になったあと、名前をサルメノキミとかえている。「猿」をトーテムとする集団に属したからだ。サルタヒコとアメノウズメは「天狗」と「おかめ」、さらには「男根」と「女陰」の関係でもある。
■【天の御柱】
イザナギとイザナミがオノゴロ島にぶったてた柱のこと。この柱を回ることによって子を孕む。ということは、天の御柱って、元祖・陽石ではなかったのか? 断定はできないけが…。⇒メンヒル
□【……余聞】
上林澄雄さんの『日本反文化の伝統』(講談社学術文庫)によると、イザナギとイザナミは「天の御柱」のまわりを「輪舞」したのではなかろうかと推察している。盆踊りの櫓を中心にして回る、あの「輪舞」である。
□【……余聞】
この習俗は縄文時代からあったという。男女は「輪舞」しながら、気に入った相手を見つけ出し、森の木陰の性交へと続くのである。やがてこの「輪舞」は、「歌垣」「かがい」と受け継がれ、さらに時代が下って「盆踊り」となっていく。
◆【アメノヒボコ】
新羅の王子で、垂仁朝のとき日本に渡来して兵庫県の出水(イズシ)にステイ。アメノヒボコをご神体とする神社も多い。なのに「アメノヒボコ」とはあまりにも日本的な名前ではありませんか?
◇【……名前】
アメは「天」「陽」、ヒコは「男」、ボ「性器」…。たぶん「太陽の男根」という意味であろう。
◇【……余聞】-1
昼寝中の女のホト(女陰)に、陽光が差し込み、女は孕んで赤玉をポロリ。アメノヒコボはこの赤玉をもらって床におく。と、おやまぁ美人に成長したので、たまらずチョメチョメ。たぶん、精子(陽光)をばらまいたのはアメノヒコボの仕業だろう。つまり、近親相姦でんがな。
▼【アモーラ】(Amora)
ロンドンはピカデリーに、2007(平成19)年にオープンしたセックス・アカデミー。館内は7つのステージに別れ、人形や特殊なセットを使って性について解説している。
▼【新井の道祖神】
⇒長野県松本市
県道285号沿い。鉢巻のように亀頭冠をくっきりの自然石男根(高さ98cm)と、それと対をなすワレメくっきりの自然石女陰(高さ57cm)が祀られている。かつて、ここで三九郎火祭り(どんど焼き)をやっていたが、いつのまにか消滅してしまった。
▽【……余聞】
『双体道祖神』(伊藤賢吉、緑星社)の写真を拝見すると、瓦屋根の建物におさまっていたが、いまその建物は跡形もない。
▼【荒沢神社】
⇒岩手県衣川村
小さなヤジロの中に男根石が祀られており、ヤシロの前にも奉納された男根像が数本並べられている。荒沢神社の祭神は道祖神の元祖とされるサルタヒコ。
▼【荒砥の産泰神社】
⇒群馬・前橋市下大屋町597
拝殿の裏側に回ると、そこは畳み大の巨岩が折り重っており、女陰を思わせる「胎内くぐり」もそこにある。おそらく縄文時代の昔から、盤座(イワクラ)信仰があったところなのだろう。
▽【……余聞】
この巨岩群のひとつに、舟のカタチをした「舟石」があり、その上に小さなホコラがのっていて、大黒さまが祭られている。「舟乗り大黒」と呼ばれているが、これとて舟石は女陰、大黒さまは「男根」の象徴で、性の信仰と見てとれる。
■【荒脛巾】(アラハバキ)
性神の神々の一柱。「はばき」は「脛当て」のこと。で、旅の神→道祖神→性器神ではないかとの見方があり、そのことを裏付けるように、陽物を祀る神社もある。⇒荒脛巾社
□【……あちこち】
□【……余聞】
ご神体は磐座(イワクラ)で、上部の突起部分が男性器、下部の土台が女性器を表わしているという見方がある。となれば、ヒンドゥー教のリンガと同じ発想になるのだが…。
■【荒脛巾神社】
▼【荒屋敷の石神さま】
⇒神奈川・相模原市津久井
国道412号線沿いに、格子にいくつものザルがぶるさげられたプチ社殿があり、中には巨大な自然石がチン座している。あらかに男根形であろう。ザルは「かご目」信仰によるものだ。←ざる目
■【淡嶋神社】
和歌山は和歌山市の「淡嶋神社」が本家。医薬の祖神だそうで、スクナヒコナが祭神。「粟島神社」「加太神社」も同系の神社。婦人病に霊験があるとされている。
□【……あちこち】
加太・淡嶋神社の男根形群(和歌山)、新開・粟島神社の鳥居(熊本)…。
■【安産石】
性神の呼称の一柱。女陰系で安産にご利益がある。←性神の呼称
【い】
■【いかづち】(雷)
男根形石棒の古い呼称。雷さんは男根形石棒を撥がわりにして、ゴロゴロゴロと太鼓を鳴らした?⇒男根形石棒
■【雷神社】
ご神体が男根形石棒というケースもある。江戸時代は男根形石棒を「いかづち」と呼んでいた。
▼【池袋・水天宮の田の神さん】
⇒東京・豊島区
「池袋駅前公園」の片隅に水天宮があり、向かって右に4体の「田の神さん」が、それぞれに杓文字を持って並んでいる。フツ~、杓文字は女陰を表しており、田の神の股間もそれとなく女陰を思わせる。で、裏に回ってみると…。なんと4本の男根形がニョッキリ。つまり、半陰陽と神ということになる。
◆【イザナギ】
初の男性器具有神。「ギ」は「男」の意味。つまり男神であることに間違いはないのだが、不思議なことにアマテラス、ツクヨミ、スサノウを出産しておるんですねぇ。
◇【……余聞】-1
「ギ」が「男」、「ミ」が「女」を表すことは、オキナ(翁)、オミナ(嫗)でも証明できる。オミナが「オウナ」「オムナ」に変化することにも注目すべき。
◇【……余聞】-2
吾が身は成り成りて成り余れるところ一処あり。故(カレ)この吾が身の成り余れる処を、汝が身の成り合わざる処に刺し塞ぎて国土(クニ)生み成さむとおもうはいかに。→古事記
◆【イザナミ】
神界初の女性器具有神。「ミ」は女性を現す。ただ、ナミ(波)とナギ(凪)の関係を考えると分からなくなる。
◇【……余聞】
吾(ア)が身は成り成りて成り合わざるところ一処あり。→古事記
▼【石和八幡宮の道祖神】
⇒山梨・笛吹市石和町市部1094
鳥居をくぐった左手にどでかい丸石が…。武田信義の子の石和五郎が、1192(建久3)年に鶴岡八幡宮をこの地に勧進した。
◎【石】
⇒池上隆祐・木耳社(1997)
■【石】
自然が男根や女陰につくりあげた形状から、性神として扱われるケースが多い。
□【……あれこれ】(人工のものも含む)
安産石、石神(石上)、石根さま、陰石、陰陽石、おそそ岩、男石(おとこしさま)、女石、女形石、月水石、子抱石、子種石、金勢石、雌雄石、石尊、高石、抱石、立石、男根石、ちんぽ石(珍鉾石)、裸石、彦石、姫石(姫石明神)、へのこ石、麻良石、夫婦石、女泣石、陽石、羅石さん(羅石明神)…。
▼【石ヶ戸の縁結び岩】
⇒青森・十和田市奥入瀬
石ヶ戸のバス停前に、桂に支えられた一枚岩があり、まるで小屋掛けしたようなカッコウ。木と石が結合しているとことから、縁結びの信仰も生まれた。
▽【……余聞】
かつて、鬼神のお松という女盗賊が居住。色仕掛けで旅人を引きずりこみ、身ぐるみはいでいたとか。
■【石神】
性神の一柱で、男根形石棒のことが多い。縄文時代の中期から後期にかけて男根形石棒が盛んに作られたが、やがて土に埋もれてしまう。なにかの拍子で、その男根形石棒が日の目を見た場合、それは神として祀られることになる。
□【……あちこち】
延命寺の石神さま(東京)…。
□【……類語】
石上、石根さま、おしゃもじ、しゃくし(杓子)、しゃくじ、しゃぐじ、しゃくじん、高石、立石…。
■【石上】
性神の一柱。「石神」から「石上」に…。
◎【石神信仰】
⇒大譲八郎・木耳社(1977)
◎【石神信仰の研究】
⇒石田大定・山岡書店(1962)
■【石神大明神】
□【……あちこち】
◎【石神信仰の研究】
⇒石田哲弥・名著出版(2001)
◎【石神の性典】
⇒伊藤堅吉・富士博物館(1963)
◎【石神問答】
⇒柳田国男・創元社(1941)
●【石川県】
⇒陰陽物
兼六園の陰陽石(金沢市)、関野鼻の洞窟(富来町)…。
●【石川県】
⇒祭り
八朔祭り(富来町)
■【石厳當】(イシガントウ)
沖縄における道祖神と言っていいだろう。三叉路とか道の突き当たりに立っている石のカタマリ。昔は細長いものが主流だった。明らかに男根をイメージしたのであろう。 石厳當は中国から渡来した文化。
■【石皿】
縄文時代の遺跡から男根石棒と一緒に出土したりする、平べったくて中央に浅い窪みをつけた石器。ここに木の実などなどを入れ、球形の「すり石」で摺り合わせる道具。実用のほかに、女性器をイメージした祭器でもあった。⇒すり石
◆【イシス】(Isis)
古代エジプト神話の女神でフェラチオのテクニシャン。バラバラにされちゃった夫オリシスの遺体を回収して復元する。ところが、ペニスだけ発見できなかったため、こちらはイチジクでこさえる。で、口に含んで息を吹き込みオリシスを生き返らせちゃうったのだ。
←オリシス
■【石根さま】
石神系の性神の一柱。←性神呼称
□【……あちこち】
◎【石にやどるもの】
⇒中沢厚、平凡社、1988年
副題に「甲斐の石神と石仏」とあり、山梨県内の石神に関するエッセー。なかでも丸石神についての洞察がすばらしい。もっとも、丸石は「女性器」の象徴としていないところに不満が残る。
◎【石の伝説】
⇒石上堅・雪華社(1963)
◎【石の民俗】
⇒野本寛一・雄山閣(1975)
▼【石水の双体道祖神】
⇒山梨・韮崎市穴山町石水
大胆にも女が男のイチモツを握るようにして挑発~。4叉路の角のいくつかの石塔にまじって、てっぺんに笠石をのせた高さ78cmの石塔がある。下部に男女2神のエッチが浮き彫りにされ、「銘」をみれば、1766(明和3)年となっていた。
▽【……余聞】
この双体道祖神は「燈籠形」に属するが、ミネラル魚田には、どうしても男根形に思えてならなかった。燈籠って、男根をイメージしているのかもしれないナ。
▼【石山の道祖神社】
⇒岩手・江刺市田原字大日前石山
トタン屋根で木造のヤシロがあり、正面の祭壇には木彫りの男根形が、祭壇上には小さいながらも鉄製の男根形が祀られている。木製男根形で一番大きなものは高さが120cm。
▼【泉沢町のきまら薬師さま】
⇒群馬県前橋市泉沢町
人家脇の丘に6基の石碑などがあり、そのひとつがキマラ薬師さま。半浮彫りにした薬師如来坐像の下半身から、なんとも巨大な男根がムニュ~とばかりに鎌首をもたげている。「きまら」は「きんまら」の転化。1820(文政3)年につくられている。←金麻良薬師さ
ま
▽【……余聞】
かつては個人が保管していて、夏の供養のときだけ、公共の場に顔を出したそうだが、コレって明治政府の男根弾圧を避けるための苦肉の策ではなかったのか?
▼【出雲路の幸神社内石神さん】
⇒京都・京都市上京区寺町通今出川上ル303
さへの神の元祖的な存在。自然石の石神さんは境内の北東に祀られている。でも、男根形はちょいとぶかっこう。794(延暦13)年の平安京遷都のとき、鬼門(東北)をガードするために造営されている。祭神はサルタヒコとアメノウズメ。→地下鉄今出川駅から徒歩10分
▽【……余分】-1
鬼はどうして角を生やし、トラのパンツをはいているのか。東北を昔風に言えば「丑 寅」「うしとら」となり、牛の角と虎のパンツをドッキングさせたわけ。
■【磯神さま】
石神が訛ったものと思われる。
□【あちこち】
瀬戸田の磯神さま(愛知県)…。
▼【市杵島神社】
⇒奈良県桜井市
2月11日の「お綱祭り」で、一方の舞台となる神社。男綱はこの神社からくりだして、雌綱の待っている春日神社へと引かれていく。←お綱祭り、春日神社
▼【泉沢のキマラ薬師さま】
⇒群馬・前橋市泉沢町
□【威徳稲荷】
⇒新宿花園神社
▼【板鼻の猿顔石】
⇒群馬・安中市板鼻1-6-20
板鼻公民館の庭に、ユーモラスな表情の猿の顔を刻んだ自然石がある。下半身に目を移せば体形に似合わぬ極太の包茎男根が…。この猿顔石、当初は板鼻取勝神社に祀られていたが、この神社はいまはなく、こちらに移された。
▽【……余聞】
群馬県の性神にやたら詳しい『性神風土記』の著者、小板橋靖正さんは「男根石人」と命名しているが、ミネラル魚田は「猿顔石」のほうがお似合いかと…。
▼【市川の荒脛巾社】(アラハギシャ)
⇒宮城県多賀市市川
古ぼけた祠の回縁に大小さまざまな木製男根が奉納されている。布でこしらえた女陰『おひらきさま』も…。
■【いちじく】
□【……文献】
性の表徴無花果…。
▼【一乗寺の天満宮】
⇒山梨県南都留郡西桂町小沼1997
境内にホカラがり、祭神の菅原道真の小さな木像が祀られ、その傍らに石製男根が1本が置かれている。
▼【市原の乳銀杏】
⇒宮城県仙台市
天然記念物に指定され、樹齢は1200年と推定されている。枝から無数の瘤がオッパイ状に垂れ下がり、「乳銀杏」として昔から信仰されてきた。
▽【……余聞】
この乳銀杏は、聖武天皇の乳母、紅白尼の遺言によって植えられたとされている。
■【厳島神社】
▽【……あちこち】
宮島の厳島神社(広島)、村上の厳島神社(千葉)…。
◆【出口米吉】
▼【いなけ棒】
受胎を願って嫁の尻をたたく棒を新潟ではこう呼んでいる。この習俗は日本の各地に残っていて名称も異なる。
■【稲荷神社】
もともと稲づくりの神様だった。が、いつの間にか商売の神様となり、さらに水商売、三業地の神様に…。水商売や三業地といえば性器がウリ。で、木製の男根を祀ったり、女陰の象徴の朱の鳥居を奉納したり。
□【……あちこち】
□【……余聞】
祀っているのはインドではダーキニ、日本では荼枳尼天(ダキニテン)。しかして、その正体はというと、インドでは雌のジャッカルだが、ジャッカルのいない日本に渡って、キツネに化けちゃった。
▼【猪毛の道祖神】
⇒群馬県高崎市倉渕町
双体道祖神ながら、男神・女神が別々の石でこしらえてある(単体2神道祖神)。三河(愛知県)から運ばれてきたという伝承がある。この2神はホコラに祀られているが、その脇には木製男根形が奉納されていた。
▼【猪山の道祖神】(イノシヤマノドウソシン)
⇒広島県安芸太田町戸河内
製作年代が分かっている道祖神の中で、最古の双体道祖神とされている。1454(亨徳3)年に作られたもので、風雨にさらされ、どちらが男やら女やらはっきりしない。
■【位牌】
使者の俗名や戒名を記した木製の札。確たる証拠はないが、その形状からいって男根形と考えられる。
□【……余聞】
中国河南省で、約5000年前の位牌が出土している。陶製の男根形で、男性器崇拝が存在していたことがうかがいしれる。
●【茨城県】
⇒陰陽物
乙子(オツネ)の石神神社(守谷市)、鹿島神宮の要石(鹿島市)、小林町歩の鳥見神社(河内町)、米ノ井の神明社(取手市)、山王の山王神社(取手市)、高道祖(タカサイ)神社(下妻市)、長福寺の根精宮(取手市)、道鏡さま(美野里町)、谷中の熊野神社(取手市)…。
★【茨城県】
⇒祭り
大飯まつり(桜川市)、なーば流し(行方市)、塞り棒祭(下妻市)…。
▼【居平・旧長谷部家の巨大男根形】
⇒南会津郡只見叶津字居平
旧・長谷部家は番所の建物で、3階には黒光りする男根が安置されている。新潟からの悪霊の侵入を阻止するためのものか。
▼【今泉のまら精の神】
⇒神奈川・秦野市今泉460(枝番未確認)
長方形の箱のようなホコラに、高さ120cmの石製男根が窮屈そうに安置されている。以前は雨ざらしだったが、小学校が近くにあるため、長方形の箱に押し込められてしまったのだ。戦時中は田んぼに埋められたりと、ご難続きでなんですよ。
▽【……因縁】
この男根、「宝永八卯一月十四日」の記銘がある。1711年のことで、七沢村(現・厚木市)の石工が精魂傾けて製作。完成と同時に絶命してしまった。それを今泉村の若衆たちが盗んできて、この地に祀ったとされている。
▽【……余聞】
このマラ精の神の前面には、庚申塔と岐神(サイノカミ)の碑が置かれ、さらに、右手奥には、女性器を暗示した丸石が3個ほど転がっている。
▼【今宮戎神社】
⇒大阪市浪速区
旧暦の1月10日にキンマラ市がたち、金粉を塗った張子の男根が売られ、大半の人がこれを買って福運を願った。ただし、明治5年の太政官布告で全面的に禁止となっちゃったけど。
■【イミテイティブ・マジック】
「模倣呪術」と呼ばれる。人間のある行為に対し、その結果と同じになるように神が計らってくれるという信仰。
▼【伊美別宮八幡社】
⇒大分県国東市国見町伊美2710
末社の今熊社には1884(明治17)年に奉納されたチン長94cmの男根一体が、舟形手水鉢を台座にして、にょっきりとチン座している。おそらくヒンドゥー教のリンガがヒントになっているのだろう。
▽【……余聞】
伊美別宮八幡社の歴史は古い。886(仁和2)年に岩清水八幡宮の分霊を祀った。また、今熊社の祭神は、性病に造詣が深かった名医・桐畑守重が祭神。
▼【入江岡の傘地蔵尊】
⇒静岡県清水市
静岡鉄道の入江駅前。高さ約2mの陽石で、そのてっぺんには鏡餅に似た傘がのせてあり、胴の部分には「正保元年」(1645)と彫られている。
■【岩】
自然がつくりあげたその形状から、性神として祀られるケースが多い。
□【……あれこれ】
岩神、岩姫、おそそ岩、夫婦岩、めっこ岩…。
□【祝い木】
⇒祝い棒
▼【いわいそ】
受胎を願って嫁の尻をたたく棒を和歌山ではこう呼んでいる。この習俗は日本の各地に残っていて名称も異なる。
■【祝い棒】
高山市で売られている民芸品。もともとは女の尻を叩く棒だった。女の尻を叩いてどうする。こうすると子供が孕みやすくなる。この祝い棒は6角か8角にして、途中から先端近くまで削りかけにしてある。つまり、男根をシンボライズしたものだ。
▽【……類語】
いなけ棒、祝い木、いわいそ、卯杖、卯槌、粥杖、こはらめ、御用棒、大の子、大の金剛、大の鉾、はらめっそ、はらめん棒、ほいたけ棒、ほだけ棒、ほたたき棒、ぼんでこ、嫁祝い棒、嫁叩き棒、よんどり棒…。
■【岩神】
性神の一柱。男根系。
■【岩神神社】
□【……あちこち】
淨福寺通りの岩神神社(京都)…。
▼【岩楠神社】
⇒兵庫県一宮町
伊弉諾(イザナギ)神社の摂社。ここには、「楠木様」と呼ばれる周囲8m、高さ45mを超す楠木があり、この楠に触ると、妊娠すると信じられている。かつては、社殿裏に女陰の形をした洞窟もあった。
●【岩手県】
⇒陰陽物
石切所・枋ノ木社の金勢大明神(二戸市)、大沢は金勢神社の男根形(花巻市)、織部・駒形神社のお駒さま(遠野市)、智和伎神社(盛岡市)、千厩・天王社の夫婦石(一関市)、遠野ふるさと村の金勢さま(遠野市)、巻堀神社の金勢大明神(盛岡市)、山崎のコンセイサマ(遠野市)…。
●【岩手県】
⇒祭り
雨風祭り(遠野市)、黒石寺の蘇民祭(奥州市)…。
■【岩姫】
カタチが女陰を連想させる自然石を祀るケースが多い。性神の呼称のひとつ。←性神呼称
■【淫祠邪教】
とくに性神にたいしての弾圧が激しかった。
■【陰茎大明神】
性神の一柱。もちろん男神だけど、ちょっと露骨すきる表現かも。←性神呼称
□【……あちこち】
■【淫祠】
性神を祀ったホコラのこと。
■【陰石】
女性器をかたどった石のことで性神の一柱。陰陽道によれば、男性は「陽」、女性は「陰」の世界に入る。陰石の場合、自然石が多い。←性神呼称・陽石
□【……祈願】
縁結び、子授け、下の病、安産などに霊験。
●【インド】
ドッキンネッショル寺院の12リンガ(コルカタ)
●【インドネシア】
⇒性神
バタラ・ガナ(バリ)…。
▼【院内・千葉神社の狛犬】
⇒千葉・千葉市中央区院内1-16-1
鳥居をくぐってすぐ。両脇に1929(昭和4)年に奉納されたという狛犬が出迎えてくれる。で、裏に回ってみると、右手の雄に睾丸をぶらさげた男根が、左手の雌にはワレメくっきりの女陰が…。
▼【印内・八坂神社の猿の像】
⇒千葉・船橋市印内
本殿わきの小さなホコラに猿の像が祀られている。この猿たちの股間に朱を塗ってやると、性病・婦人病にキクといわれていたが、股間の面積は少なく、いまではどの猿もマッカッカ。
▽【……余聞】
ホコラには、長さが約25cmほどの棒状の石が1個も祀られている。たぶん、コレって男根形であろう。
▼【印旛姫之宮のリンガ風性神】
⇒千葉・佐倉市臼井
女陰をカタどった台座の上に、高さ56cmの男根がほほえましく勃っている。オヤ~、よく見ると男根のつけ根のあたりにも女陰らしきものが…。ヒンドゥー教はジバ神の化身のリンガを思わせる。
▽【……余聞】
ご当地にも宅地造成の波が押し寄せている。印旛姫の宮は、初め雑木林のなかにあったが、引越しの憂き目にあい、今度は印旛沼が見わたせる高台に…。
■【陰陽一体形道祖神】
道祖神を祀る形態のひとつ。中央に楕円石(陽石)、そのまわりに複数の丸石(陰石)を祀るカタチ。道祖神信仰とはちょいと違うが、ヒンドゥー教のリンガも陰陽一体形である。⇒楕円石、リンガ
■【陰陽一対形道祖神】
道祖神を祀るスタイルのひとつ。⇒サルタヒコ
■【陰陽石】
女性器を象った石(陰石)、男性器を象った石(陽石)のこと。庭園に陰陽石を配置するのは造園のキマリになっている。陰陽道によれば、男性は「陽」、女性は「陰」の世界に入る。
□【……あちこち】
後楽園の陰陽石(岡山)、兼六園の陰陽石(石川)、小石川後楽園の陰陽石(東京)、栗林公園の陰陽石(香川県)…。
▼【陰陽石宮】
→広島県福山市
社殿の左の建物に陰陽の2石が祀られている。この2石からは絶えず霊水が湧き出ていて、婦人病などに効能があるんだとか。ただし、毎月27、28日は赤い水が出て、これは効能ゼロ。つまり、経水ということか?
◎【陰陽神石図】
→宮負貞雄(1832)
日本の性石を調査した貴重な資料。
【う】
▼【上田屋の金勢天魔神】
⇒青森・下北郡東通村上田屋
村はずれにホコラがあって、1本の木製の男根形が祀られている。漂白の人、菅江真澄
も1793(寛政5)年に立ち寄っているが、そのときは、男根石がたくさん祀られていたと書いている。
▼【牛天神の道祖神塔】
⇒東京・文京区春日町1-7
チラリ見たかぎり、庚申塔を思わせる。ところがどっこい、道祖神の文字がデカデカと刻まれていたりする。が、その文字の下には「三猿」のレリーフ。つまり、「庚申」と 「道祖」が合体している、きわめてめずらしい塔なのだ。三猿の股間に凸や凹の細工はない。
▽【……余聞】
子供にオッパイを飲ませている狛犬がいる。ポコチンをくっつけた狛犬なら、あちこちで見かけるが、この狛犬もめずらしいケース。
▼【鵜坂神社】
⇒富山県婦中町
氏子の女たちを集めて、浮気した回数を言わせ、禰宜が竜眼木でその回数分、尻をビシバシ叩いた。嘘をつくと神罰が当たると信じられていた。いま、この祭はなくなってしまった。
★【美ヶ原温泉道祖神祭り】
⇒9月第4土曜日(長野・御母屋の姫薬師&湯の原薬師)
湯の原薬師に安置してある長さ160cm、重さ90kgの木製男根を神輿に仕立て、御母屋の姫薬師をスタート、温泉街を練り歩き、湯の原薬師へ戻る。→長野・松本市里山辺、←殿山・湯の原薬師、御母屋の姫薬師
▼【宇治市の縣神社】
⇒京都・宇治市蓮華72
6月5日の夜から6日未明にかけてのイベントで、いわゆる暗闇祭ってやつですな。知らぬ同士が雑魚寝をして、上になったり下になったり。このセックスで孕むと、神から授けられた子となる。
▼【鷽替え神事】(ウソカエ…)-A
⇒1月7日(福岡・大宰府天満宮)
前年の鷽を返納して新しい鷽とトリかえるイベント。知らないうちについてしまった「うそ」を天神さまの「まこと」に替えていただこうってわけ。この縁起物の鷽は、「削掛」といって、削った木の皮を巻きあげる手法でこしらえる。つまり、男根をイメージしている。
▼【鷽替え神事】-B
⇒1月24、25日(東京・亀戸天神)
大宰府天満宮の「鷽替え神事」に同じ。⇒東京・江東区亀戸3-6-1
▼【歌垣】(ウタガキ)
男女が野外にあつまって、歌ったり踊ったり…。この日は神様が許した無礼講の日なので、気があえば2人で近くの草の褥(シトネ)に消えていってもかまわなかった。⇒うたがい
▽【……余聞】
万葉集にも「オレ、他人の妻と交わるからさ、お前さんもいい男を見っけなよ」なんて歌が残っている。
■【御嶽】(ウタキ)
沖縄で神様が降臨する聖地。しかも、女陰がその原点にある。
▼【打出の小槌】
大黒様の所持品のひとつで、ひとふりすれば金銀財宝が…。つまり、この小槌は繁殖力を示すペニスの象徴とみてよい。鎌倉時代の大黒様は小槌を持たず、「女握り」(女陰のサイン)だった。
▼【卯杖】(ウヅエ)
男根をかたどった嫁叩き棒の異称。子供をほしがっている女の尻をこの卯杖で叩いてやると、子宝にめぐまれるという信仰があった。卯杖は「打つ杖」という意味。
▽【……余聞】
東京・亀戸天神社で初卯の日に卯槌とともに売っていたが、戦後になってやめてしまった。エッチなイメージが強すぎのか?⇒卯槌
▽ 【……類語】
いなけ棒、祝い木、いわいそ、祝い棒、卯槌、粥杖、こはらめ、御用棒、大の子、大の金剛、大の鉾、はらめっそ、はらめん棒、ほいたけ棒、ほだけ棒、ほたたき棒、ぼんでこ、嫁祝い棒、嫁叩き棒、よんどり棒…。
▼【卯槌】(ウヅチ)
⇒初卯の日(東京・亀戸天神)
六角に削った棒の頭に赤い奉書をかぶせ、5色の糸で結んである。長さは14cmほど。これで大地を叩けば五穀豊穣ってわけだ。エッチのイメージは薄らいでいるが、原型は男根形だ。
▽【……余聞】-1
民俗学的に言うと、嫁の尻を棒で叩く「嫁叩き」は全国的なものだったが、だんだんと尻から地面を叩く風習へとチェンジしているんだとか。
▽【……余聞】-2
卯杖や卯槌ってのは、本来は空木(ウツキ)でこしらえたそうだ。つまり、「打つ木」ってわけ。ちなみに、卯の花を咲かせるのが空木でんねん。
▼【美ヶ原温泉の道祖神祭り】
⇒9月第4土曜日、湯の原薬師堂(長野)
美ヶ原温泉のイベントで、男根みこし(道祖神みこし)に女性をまたがらせ、青年たちが担いで美ヶ原温泉街を練り歩く。縁結びや子宝にご利益があるとか。この道祖神みこしにまたがった女性には「福子宝餅」(飴)をプレゼント。⇒長野・松本市美ヶ原温泉
▽【……余聞】
男根みこしのご神体は長さ160cm、胴回り100cm、重さ90kg。普段は湯の原薬師堂に安置されている。
▼【鵜戸神社】
⇒宮崎県日南市
本殿は洞窟の中。この洞窟には、トヨタマヒメが生まれたばかりのわが子、ウガヤフキアエズを置いて海に帰ったとき、残していったと伝えられる「お乳岩」がある。そのお乳岩からしたたる清水から作られた「お乳あめ」も売っている。
▽【……余聞】
「鵜戸」は「産所」とも解釈することがでる。すなわち、「鵜戸」は、女性器のことであろう。
■【うば神】
性神のいち柱。
▼【ウムガイ姫】
オウクニヌシが大火傷をおったときに治療にあたった姫のひとりで、お乳の神様といったところか。キサガイ姫が体液、つまり淫水を出し、それをウムガイ姫(ハマグリ)が、お乳とまぜて塗っててやったところ、オクニヌシは一命をとりとめている。
▼【フケノ川の梅宮神社in陰陽石】
⇒京都市右京区梅津フケノ川町30
こちらって酒の神さまで有名なんだけど、なぜかサルタヒコとアメノウズメの陰陽石も祀られている。向かって右が陽石、左が陰石。
▽【……余聞】
ほかに子宝信仰の「またげ石」もある。この「またげ石」は平たい岩の上に丸石が2個、マン座している。丸石は女陰の象徴だが、ここでは羊水にくるまった胎児を表しているのだろう。
▼【禹陵の?石】(ウリョウノシセキ)
⇒中国・紹興市
夏王朝の
▼【宇和島の多賀神社】-A
→愛媛県宇和島市藤江1340
凸凹神堂に先代宮司の久保盛丸さん、現宮司の久保凸凹丸(アイマル)さんが収集した性信仰や性文化にかんする資料が山のように展示してある。
◎【雲根志】(ウンコンシ)
⇒木内石亭
江戸時代の鉱物学者の木内石亭が、各地に存在する玉石類を考証。陰陽石についても調べあげている。
【え】
▼【永見寺の金精和合大明神】
⇒東京都台東区寿2-7-6
門をくぐって左手に金精和合大明神のホコラがある。そのわきに男根石&女陰石が雨ざらしの状態で祀られている。女陰石は戦災で焼けただれてしまったらしく、どこがサネだか穴だかわからない。
▽【……余聞】
江戸は享保(1716-1736)のころ、花の吉原の一番の売れっ子っていえば中万字屋おかかえの玉菊だった。この玉菊が深~く信心していたのが、こちらの金精和合大明神だったようで、玉菊さんのお墓もコチラ。
▼【江久神社の雑魚寝】
⇒京都・大原
――おひねりの残る雑魚寝の祭りあと
3月3日は節分の夜に男女が集まり、フリーセックス「雑魚寝」におよんだ神社として知られている。その昔、この辺りに大蛇が出没。村の男女が社殿に隠れて難を逃れた。このことが、「雑魚寝」の始まりだったとか。
▽【……好色一大男】
老若の別ちもなく、神明の拝殿に所の習いとて、みだりかわして打ち伏して、一夜は何事もゆるすとかや。
▼【疫隅社】(エグマノヤシロ)
→
門戸にはる「蘇民将来子孫之家」の護符と、直径3cmの茅の輪守を授与してくれる。蘇民将来は男根、茅の輪は女陰の象徴。⇒蘇民将来、茅の輪
●【エジプト】
オベリスク(各所)、ミン神(コプト地方)…。
◎【越後の性神・風神その他】
⇒ 吉田郁生、 吉田ふじ編(1986)
◎【江戸名所図会】
⇒斉藤幸雄ほか、1836(天保7)年
親子3代にわたり30年を費やして完成させた江戸の地誌。東京の性神の研究にはかかせない。
▼【江島神社の裸弁天】
⇒神奈川県藤沢市江の島
裸弁天(妙音弁財天)は弁天堂に祀られている。スッポンポンのお姿で月琴を弾く、丈54cmの木造坐像。仰向けにするとワレメちゃんをかいま見ることができるとか。鎌倉時代に製作されたという。
▽【……余聞】
明治になって淫祠邪教の弾圧の嵐が吹き荒れたためひた隠しにされていた。昭和になってやっと、弁天堂を建てて、修繕した裸弁天を拝観させることに…。2004(平成16)年に彩色と修繕があった。
●【愛媛県】
⇒陰陽物
阿奈波神社(大三島町)、多賀神社(宇和島市)…。
▼【江文大明神の雑魚寝祭り】
⇒京都・京都市左京区
――御ひねりの残る雑魚寝の祭り跡
江戸時代末ごろまで、雑魚寝祭り(3月3日の夜)の舞台となったところ。江文大明神は金毘羅山(572m)の麓にある。⇒雑魚寝祭り
★【会陽】
⇒2月第3日曜日、西大寺(岡山)
イベントのクライマックスは、褌いっちょうの群集に投げられた宝木(シンギ)の奪い合い。かつて宝木は、男根のカタチをしていたと言われている。「陽」はすなわち男根、その男根にめぐり「会」うことができる。裸祭りとも呼ばれている。→岡山県岡山市
▼【エルマイ】
古代ギリシャはアルカディアの農民が信仰した棒状の石のこと。旺盛な生殖能力を持つ男根の象徴として、道の傍らなどに祀られた。やがて、このエルマイは四角い石柱となり、さらにアテネに進出してヘルメス像へとかわっていった。←ヘルメス神
▼【エロス博物館】
⇒韓国・ソウル市鍾路区八判洞123-3
日本の浮世絵、中国の艶画、チベットの歓喜天など世界各地のエロスが1500点。韓国エロスの点数が少ないのはちと難点だが、18歳未満でも保護者が一緒なら入場できることは注目すべき。
▽【……余多】
この博物館は、2003(平成15)年に三清洞(サムチョンドン)でオープン。仁寺洞(インサドン)に移ったが忽然と姿を消してしますた。で、探し出すのに苦労した。地下1階地上2階建て。目と鼻の先は青瓦台(大統領官邸)なので、機動隊員に聞いてやっと分かった。
▼【エロチック・ミュージアム】
⇒オランダ・アムステルダム
飾り窓近くにあって5階建ての博物館。ジョン・レノンのエッチングなどがある。入場料は5ギルダー。
■【延喜帝】(エンキテイ)
――寒夜も素肌神棚の延喜帝
遊郭などで縁起棚に祀った男根の張形をこう呼ぶことも。「延喜」は「縁起」とひっかけてある。
■【縁起棚】
――神仏の他に燈明一つあげ
花柳界や商家では神棚のほかに縁起棚があり、この縁起棚に金勢神を祭る風習があった。例えば、遊郭の吉原では張見世の時刻になると、神棚と縁起棚に燈明をあげ、三味線を陽気にかき鳴らし、商売繁盛を願った。
▼【円光寺】
⇒北海道・増毛町舎熊
境内の堂屋に2本の男根形石棒(徳利)が祀られている。蝦夷の治安維持のために派遣された秋田藩士が駐留したのがご当地。これを当て込んで遊女屋が繁盛した。ここの遊女たちが招客明神として信仰していたそうだ。
▽【……余聞】
この2本の男根形石棒は
▼【延命寺の石神さま】
⇒東京・板橋区中台3-18-21
境内に石神さまを祀ったホコラ「石神堂」(シャクジドウ)がある。梵字が書かれた石神様はあまりスマートとはいえないが、従来の石神さまは盗まれてしまい、いまあるのはコンクリート製のイミテーションなんだとか。
【お】
■【お石神尊】(オイシシンソン)
石神系の性神の一柱。
□【……あちこち】
本仙寺のお石神尊(埼玉)…。
▼【大縣神社】(オオアガタ…)
⇒愛知県犬山市宮山3
3月第2日曜日の『於祖々祭り』で有名だが、境内には陰石がワンサカとある。女陰に関する性神も多い。祭神はタマヒメ(玉姫命)。
▽【……余聞】
かつては、女陰をあしらった幟(ノボリ)を先頭に、蛤御輿などの行列が練り歩いた。この蛤はときどきパックリ口を開いて、中から福娘が顔出して福もちをまいたりもしたが、最年はエロ度がグゥ~ンと薄くなっている。
●【大分県】
⇒陰陽物
伊美別宮八幡社(国見町)…。
▼【大国魂神社の大銀杏】
⇒東京・府中市宮町3-1
社殿のうしろの大銀杏は、乳銀杏として信仰され、乳房からお乳がほとばしる絵馬などが掛けられている。5月5日の「暗闇祭り」でチョ~有名。その昔は、この日に限ってフリーセックスが許されたようだ。⇒雑魚寝
▼【大沢温泉の金勢神社】
⇒岩手・花巻市湯口大沢18
こじんまりしたヤシロが大沢温泉の裏山の大久保山の中腹にある。1971(昭和46)年に岩手県玉山村の金勢神社から霊を分けてもらったそうで、ヤシロの中には、キリリと注連縄を巻いた木製男根がチン座している。地元の照井政弘さんの作品だ。
★【大沢金勢まつり】
⇒4月29日、大沢金勢神社(岩手)
男根形のご神体を神輿に乗せて山を下り、ひとまず旅館街の前にもうけた舞台に安置。セレモニーのあと、野天風呂に担ぎ入れ、女衆の手でゆっくり入浴させる。1週間目にご神体は、大沢金勢神社に戻される。⇒岩手・花巻市湯口大沢18
◆【オオクニヌシ命】(大国主命)
「国つ神」の娘たちを妻にして、その親族関係によって自分の勢力圏を拡大、「出雲王国」をつくりあげた神さま。この神さま、スサノウ命の娘と駆け落ちしているが、この逸話がのちの、双体道祖神のモデルになったらしい。
◇【……余多話】
イナバの白兎への手当てといい、わが国の医者の始祖ってところか。ところが、オウクニヌシも大火傷をおっているが、このときはキサガイ姫(アカガイ)が体液を出して、それをウムガイ姫(ハマグリ)がお乳とまぜて塗り、一命をとりとめている。
▼【大沢温泉は金勢神社の男根形】
⇒岩手・花巻市湯口大沢18
▼【太田・熊野神社の権現さん】
⇒千葉・佐倉市太田1407
こぢんまりとした社殿の裏に、コンクリート造りの小屋があり、そこに石や木でこしらえた男根形が、雑線とゴマンと奉納されている。地元の人たちは「太田の権現さま」と呼んでいる。
▽【……余聞】
願い事をするには、男根形の奉納がシキタリ。おや~ッ、大人のおもちゃのバイブまであるぞ。
▼【大塚町のしゃだん大権現】
⇒島根・出雲市大塚町
民家の一角。ブロック塀に囲まれてヤシロがあり、格子扉から中をのぞくと、大小の石製の男根形が祀られている。地元の研究家は「しゃだん」は「社壇」だと解説しているが、これはいただけない。「しゃだん」は「遮断」の意味であろう。
■【大つびさま】
性神の一柱。ご存知でしょうが、「つび」は女陰のやや古い呼称。江戸時代には「ぼぼ」とともに盛んに使われた。したがって、ご神体も石製の女陰形ってことです。
□【……あちこち】
天宿の大つびさま(群馬)…。
▼【大畑台遺跡】
⇒秋田県男鹿市
縄文中期の男根形石棒が出土している。亀頭冠は3重と、こりにこっている。
▼【大原雑魚寝】
⇒江久神社(京都)。
節分の夜は、神様も許した年に一度のフリーセックスデー。江久神社に村の男女が集まって、夜通しセックスにふけったという。むかしむかしの乱婚の名残であろう。→京都・京都市大原
■【おおひとさま】
性神の一柱。←性神呼称
▼【大町・田中稲荷神社の男根石】
鳥居をくぐって右手にホコラがあり、『割烹・田季野』が奉納した男根石などが祀られている。そりよりも、狐の狛犬に男根・女陰がくっついているのが珍しい。←割烹・田季野
▼【大宮子易両神社】
⇒山形・西置賜郡小国町大宮237
子授け、安産、子育ての神として信仰されてきた。さらに、19××年(平成××)にご当地周辺で男根石と女陰石が見つかり、盛大な神前結婚をさせ、境内にある「和合神殿」に安置した。
▼【大宮町の乳銀杏】
⇒静岡県富士宮市
産後のお乳の出がわるく、日蓮上人にこちらのイチョウの葉を胸にあてて拝んでもらったところ、たちまちお乳があふれ出たという逸話がある乳銀杏。
▼【大物主神社】
⇒兵庫県尼崎市
源義経が
▼【大湯遺跡】
⇒秋田県鹿角市
紀元前1000年というから、縄文後期の遺物であろう。1個の丸く高い立石を中心に日時計状に石群がめぐらされている。立石は陽根とみて間違いない。←環状列石墓
★【お鏡餅曳きの式】
⇒江戸城大奥
1月7日のイベントで、鏡餅を先頭にして、そのあとから、巨大なすりこ木にまたがった御膳所の役人、額にしゃもじを交差させた女たちが続くパレード。すりこ木は男根、しゃもじは女陰を暗示している。←新参舞
▼【オカタブチ】
⇒山梨県早川町奈良田
カツの木の皮をむいてこしらえた棒で、男の子が花嫁の尻を叩くイベント。いわゆる「嫁叩き」のひとつ。この棒は男性器の象徴であるが、先の尖った部分に女性器を書いたりした。
▽【……余聞】
花嫁の尻を叩くとき「おーかた、おかた、なんぼになりゃる、33になりゃる、33のよごは、べべのはた虫食い虫くい」とはやし立てる。
◆【おかめ】
天岩戸の前でストリップをやらかしたアメノウズメがモデルとされている。左右の頬が高く鼻がペッチャンコ。すなわち女陰の象徴である。⇒アメノウズメ、サルタヒコ、天狗
●【岡山県】
⇒陰陽物
恩徳寺の聖天像(岡山市)、軽部神社(清音村)、後楽園の陰陽石(岡山市)、酒津のカナマル宮(倉敷市)、里庄・伊勢社の百度石(里庄町)、西崎町のお塞さま(岡山市)、日限り地蔵の乳神碑(岡山市)。
★【岡山県】
⇒祭り
会陽(岡山市)…。
◎【岡山県性信仰集成】
⇒岡山民俗学会・岡山民俗学会(1964)
▼【岡山後楽園】
⇒岡山・岡山市後楽園1-5
●【沖縄県】
石厳當(イシガントウ)、玉泉洞の珍珍堂(玉城村)…。
■【お客権現】
性神の呼称のひとつ。遊女たちが商売繁盛をお願した性神で、例えば吉原遊郭では夜の部の営業前に、妓楼の飾棚に祀ってある張子の男根形に手を合わせた。
▼【奥会津南郷民俗館】
⇒福島・南会津群南会津町堺字川久保552
解体した家からバスタオル1本を謝礼にコレクションした、性神「火伏せ」がすばらしい。家を新築するにあたって、棟木に木彫りの男根形と女陰形を飾る風習で、これを「火伏せ」という。←火伏せ
▽【……余聞】
奥会津南郷民俗館は「南郷村歴史民俗資料館」「旧山内家」「旧斉藤家」の3カ所に別れており、火伏せは「旧山内家」にストックされている。2002(平成6)年に福島県有形民俗文化財に指定された。
▼【御庚申御遊】(オコウシンオアソビ)
平安時代の貴族のイベントで、庚申の夜に和歌を詠んだりして徹夜した。このイベントが庶民の『枕草子』にも「今は歌の事思ひかけ侍らじなどいひあるころ、庚申させ給ひて、内大臣いみじう心まうけさせ給へり……」とある。⇒庚申
■【お駒さま】
性神の呼称の一柱。大半が岩手・遠野市に集中している。
□【……あちこち】
織部・駒形神社のお駒さま(岩手)…。
□【……余聞】
柳田国男の『石神問答』のなかで、佐々木喜善氏は「オコマ様と云ふのは遠野十二ケ郷第一の生殖器の形の神にて、石又は木の神体累々と社殿に満ちをり候。(中略)兎に角馬の神と此形の神との関係は注意すべきことゝ存じ候まゝ申上候」としている。
■【お塞さま】
⇒西崎町のお塞さま
■【おさすりさま】
さするのは、男根だったり女陰だったりする。さすることによって霊験をちょうだいしようという信仰だ。
□【……あちこち】
妙智観音堂のおさすり観音(静岡)、柳沢のおさすりさん(新潟)…。
■【おさやさま】
九州北部で塞の神のこと。「さえの神」がなまった。⇒さやのかみ、さやんさま、佐用姫(佐夜姫)さま…。
■【おしゃぐじ】
木や石や鉄などを素材にしてこしらえた男根のご神体を言う。たぶん「石神」(シャクジン)から転訛なのだろう。
▽【……あちこち】
本仙寺のおしゃぐじさま(埼玉)…。
■【おしゃぶきさま】
男根形崇拝のシャクシン系で、いずれも石製男根が祀られている。古語の「しわぶく」「しゃぶく」からの連想で、咳に効能がある神さまに…。
□【……あちこち】
久米川のおしゃぶきさま(東京)、西台のおやぶきさま(東京)…。
□【……余聞】
男根石棒を祀る「石神」は、「イシガミ」とも「シャクジン」とも読める。「シャクジン」はさらに、「シャクシ」「シャブキ」と変化して、「おしゃぶきさま」の誕生となる。たいがいは「咳」に効能がある。
■【おしゃもじさま】
石神系の性神。
■【おしるし】
女陰をカタどった性神の呼称の一柱。長野県・松本地方で使われている。
◆【オシリス】(Osiris)
古代エジプト神話に登場する男神で、このオリシスによって、男根崇拝がはじまるのであ~る。⇒イシス
◇【……物語】
弟にねたまれたオシリスは殺され、遺体はバラバラにきざまれて四方八方に捨てられてしまう。妻のイシスは遺体を捜しあてるが、どうしてもペニスだけが見つからない。そこで、バラバラ遺体を縫合したあと、いちじくの木で夫の男根をこしらえて祀る。
■【おそそ岩】
性神の一柱。「おそそ」は女陰の呼称。
★【於祖々祭り】(オソソ……)
⇒3月第2日曜日、大縣神社(愛知)
「おそそ」は「女陰」のこと。へのこ祭り(田縣神社)と対になっている。かつて、エロ度もイロ濃かったが、最近は自粛しており、エロ度はそれほどでもない。⇒愛知県犬山市
■【オタイ】
二股の小枝で人形を二つこしらえ、オマタの部分に突起をつけた(男)、もうひとつには刻みをいれる(女)。滋賀県下では、これをオタイと呼んでいる。⇒山の神祭り
□【お多賀さん】
⇒多賀神社
■【お種神】
性神の一柱。
▼【落合の双体道祖神】
⇒群馬県高崎市倉渕町落合
金毘羅宮への石段登り口にある、浮世絵も真っ青な双体道祖神。女の腕は男の首にしっかりとからみつき、男は女の裾をはだけて割り込んでいることから、マグアイを暗示させてくれる。いま、まさにオーガズムにのぼりつめようとしているのだ。
▽【……製作年代】
安山岩の一枚岩に高浮き彫りで、なんとか「宝暦十辰天(1760年) 極月吉日 中原村中」の文字を読みとることができる。この年代から察して、石工は春画の影響をうけていると思えてならない。
□【お綱はんの結婚式】
⇒お綱祭り
★【お綱祭り】
⇒2月11日、春日神社&市杵島神社(奈良)
女綱が担ぎ出されて、春日神社拝殿前の榎の大木に吊るされる。そこへと、男綱を差し込む。お綱はんの結婚式とも言う。この陰陽交合にいたるまで、仲人役は7度半も男綱を迎えにいく。⇒奈良・桜井市
▽【……余聞】-1
江包地区側(スサノウ命)は直径2m長さ3mの男綱、大西地区側(イナダ姫)は縦の直径5mの女綱をこしらえる。いずれも重さは700kg。
▽【……余聞】-2
江包地区、大西地区とも担ぎ手は、途中、泥田で相撲をとることになっている。かつて、豊作を願って、男女が田の中でセックスしていた時代があったけれど、この名残であろうか。
■【男石】(オトコイシ……)
性信仰の対象となる石製の男根形を指す。「おとこし」と訛った呼び方もある。←おとこしさま、女石
□【……あちこち】
星月夜ノ杜・山王神社の男石(神奈川県)…。←男石
■【おとこしさま】
性神「男石」が訛ったと思われる(男衆とも考えられるが…)。群馬・沼田市下川田町の石製男根形など。
▼【乙子の石神神社】(オトコノイシガミジンジャ)
⇒茨城・守谷市高野646
▼【音無神社】
⇒静岡・伊東市音無1-12
11月10日の尻摘祭で知られている。といっても今は昔…。祭りの当日は、アカリをすっかり消して、お神酒を回し飲みしたそうな。話をすることが禁じられているので、お神酒を回す合図に尻をギュッとつねったという。暗闇祭りの一形態。
▼【女形石】(オナガタイシ)
⇒福島県福島市
女形石が安置されているのは「山口字女形」で、地名にもなっている。桃の実のような形をした陰石で、ワレメもくっきり。女の病に霊験あり。
▽【……余聞】
はじめは路傍にあったが、腰掛けたりすると崇りがあったため、大正11年、現在のところに木の祠を設けて安置したそうな。
▼【お撫で石】
⇒栃木県川治温泉
男鹿川沿いに小さな祠があり、黒味を帯びた立方形の自然石が祀られている。中央に縦長の亀裂とシワがある。女陰の象徴であることはいうまでもない。周りには男根がころがっている。
■【お仁王さん】
秋田県でみられる性神。「おにょうさま」と訛る地方もある。←性神呼称
■【おにょうさん】
秋田県の一部で信仰されている性神。おそらく「お仁王さん」が訛ったものと思われる。
■【鬼神さま】
性神の一柱。
■【おはせがた】(男茎形)
古語で男根を「おはせ」と言う。語源に定説はないが、そのカタチが魚のはぜにいているからとも。『古語拾遺』には、田の溝口にこの男茎形を置いて、「蝗」(オオムシ)からの被害を防いだというふうな話がでてくる。
□【……古語拾遺】
……若し此の如くして(蝗が)出て去らずは、牛の宍を以て(田の)溝の口に置きて、男茎形を作りて之に加へ、?子(ツスダマ)、蜀椒(ナルハジカミ)、呉桃(クルミ)の葉乃(マタ)塩を以て、其の畦に班(アカ)ち置くべし。
▼【お花大権現】
⇒徳島県三加茂町
林下寺の境内にあるお花大権現の本尊は男根。奉納された男根もあっちにゴロゴロ、こっちにゴロゴロ。例祭は8月16日。
▽【……余聞】
「お花」は加古川藩(播州)の奥女中。藩主の寵愛をうけたが、それがネタミの原因となって殺されてしまう。で、お花の怨霊を鎮めるためにつくられたのがお花大権現。のちに阿波へ移される。
■【お聖さま】
性神の呼称のひとつ。
□【……あちこち】
麻羅諏訪大明神のお聖さま(埼玉)…。
★【おびしゃ】
⇒1月13日、中井御霊神社(東京)
氏子たちが弓矢で的を射て、その年の凶作を占うイベント。悪魔祓い&招福の縁起物として、昔はダイコンを削ったダンコン3本に水引をかけて拝殿に供えたが、いまは木製のダンコン3本にかわった。→東京・新宿区2-29-16
☆【……その昔】
大正時代の中ごろまで女備射祭(2月11日)と男備射祭(2月13日)に分かれていたそうな。女備射祭のイベントは、新嫁が年番の家にあつまり甘酒を飲む。そこへとおかめ&ひょっとこに仮装した男衆が現れ、ダイコンでこさえたダンコンを新嫁たちの前に置き、妙な腰つきで踊りまわったそうな。
■【帯代】
フツーだと嫁をもらうための結納金のことを指すが、道祖神碑を盗んだときに支払う代金。『松本の道祖神』(松本市教育文化振興財団)によれば、5両から30両が相場だったとか。←嫁入り
□【……余聞】
例えば松本市四ッ谷の双体道祖神碑の裏には「擔此神移他村邑祭之為後栄祝賀之方金十五両受納」とある。ちなみにこの道祖神碑は1841(天保12)年の建立。
■【帯とけ祭り】
▼【織部・駒形神社のお駒さま】
⇒岩手・遠野市
神体は巨大な石棒なんだそうだが、残念ながらミネラル魚田、拝見することができなかった。
▽【……物語】-1
目鼻のないのっぺりした赤ん坊(実は巨根)を背負った旅の老人が、田植えをしている早乙女の近くを通りかかった。ワケを聞かれて老人、帯を解き、前に回して巨大な逸物を見せながら「たとえ鬼女でも蛇娘でもよい。一度だけでも女を抱いてみたかった」と訴える。(続く)
▽【……物語】-2
で、早乙女たちは小屋を作って老人を住まわせ、かわるがわる乳房や女陰を拝ませ、慰めてやったとさ。老人は「ご親切にしていただいたお礼じゃ。女たちの守護神となって、腰の病を治してさしあげよう」と息をひきとった。老人の巨根は駒形神社として祀られるようになったとさ。
■【オベリスク】
古代エジプトの神殿の入口の両側に、スクッと建っている石柱。おそらく、男根を形象した類のものであろう。
■【お祭り】
男女の交合を指す淫語。破礼句などによく登場する。
■【おまねぎさま】
遊女たは信仰した性神。
■【おまらさま】
性神の呼称のひとつ。「まら」とは男根のことである。
▼【御母屋・姫薬師の木製女陰】
⇒長野・松本市里山辺
薬師堂脇に巨大な木製の女陰が祀られている。普段は金網で覆われており、ご開帳されるのは9月第4土曜日の『美ヶ原温泉道祖神祭り』のときだけ。この日は湯の原薬師の木製男根がやって来て一夜の契りを結ぶ。←美ヶ原温泉道祖神祭り、殿山・湯の原薬師
■【おやおや】
性神の呼称のひとつ。←性神呼称
■【おやま】
どんど焼きでぶったてるご神木のこと。紙花や流し布で飾りたてる。柳の枝のしだれるような様子から「やなぎ」とも。ファルス(勃起したペニス)が精液を四方に飛び散らかしているようにも見える。
▼【小和田本宿の双体道祖神】
⇒神奈川県茅ヶ崎市小和田本宿
商店街の一角にあって正面から見れば男女が手を握りあった双体道祖神。ところが裏へ回ればモロ男根形。こういった作りってけっこう多い。例えば大黒さま、済州島のトバルバン…。⇒裏面男根形
▽【……余聞】-1
碑には「昭和三十六(1951)年一月十四日」と刻まれている。というのも、先代の双体道祖神が1月14日のとんど焼きで、火の中へ投げ込まれ破損してしまったため、新たにこしらえたからだ。石材は相模青石。
▽【……余聞】-2
どんど焼き(ご当地ではとんど焼き)で、双体道祖神、単体道祖神、丸石などを日の中に投げ込む風習がある。これは、歓喜天の「油浴」に由来しているようだ。
▼【恩賀遺跡】
⇒群馬県松井田町
男根石棒工房跡。1988(昭和63)年の発掘調査で、縄文時代中期の祭祀(サイシ)に使われた男根石棒123点が、工具を含めて見つかっている。
■【御田祭り】(オンダマツリ)
稲の豊作を予祝する神事芸能で、かなりエッチな場面も多い。
□【……あちこち】
飛鳥坐神社のおんだ祭り(奈良)…。
□【……類語】
春田打ち、田遊び、田植祭り…。
▼【恩徳寺】
⇒岡山県岡山市
本尊の腋侍仏として金箔に輝く聖天像が…。もっとも秘仏、特別な配慮で拝観させてもらった九重京司さんによると「抱き合っているのは、象頭人身のガネーシャ神と観音菩薩の化身」だという(『ふるさとの性神』から)。金箔は精液を接着剤にしてはったという言い伝えがある。
■【女石】
女陰のカタチをした石で、性信仰の対象になっている。←性神呼称
■【女形石】
女陰のカタチをした性神。現在、福島県は「女形の女形石」を知るのみ。
■【御柱】(オンバシラ)
諏訪大社の場合、上社(本宮と前宮に各4本)と下社(春宮と秋宮に各4本)に打ちたてられるモミの巨木。これって勃起したペニス(ファルス)と考えて間違いないだろう。⇒御柱(ミハシラ)
▽【……余聞】-1
4本という本数にまどわされてしまうが、古くは1本だったとされている。かつての「御柱祭」(ミハシラサイ)では、このモミの巨木を中心にして男女が踊の輪をつくったのであろう。
▽【……余聞】-2
三内丸山遺跡の直径1mもある6本の柱も、御柱だったのではなかろうか? 小屋掛けして復元してしまったが、あれはどうもおかしい。
▼【御前岩】(オンマエイワ)
⇒栃木県馬頭町
武茂(タケモ)川の岸辺の自然岩の女陰造形。高さは15mを越す。その中央がパカッと割れていて、頭から突っ込んでみたくなるほど女陰そっくり。上部にはクリトリスまでちゃんとくっついている。月に1度割れ目からチョロチョロ出ている水はアラ不思議、赤く濁るという。
▽【……余聞】
水戸黄門が1698(元禄11)年に「隠すべきを隠さぬは、通行人の目ざわりになる」と、対岸に竹を植えさせている。この竹は「腰巻竹」と呼ばれている。この人、他にも藩内の陰陽石をぶっぶしたり、ろくなことをしておりません。
▼【おんまらさま】
性神の呼称のひとつ。「まら」は男根を指す。←おまらさま
▽【……あちこち】
間物のおんまらさま(群馬)…。